台湾の半導体受託製造メーカー、TSMCの進出で、土地価格の上昇が続いてきた熊本県で変化が。背景には、アメリカの関税政策も関係しているとみられています。
佐藤由季アナウンサー
「大津町です。このあたりの土地価格は、おととしから去年にかけては、3割以上も上昇しましたが、今年の上昇率は1割強と価格の上昇が落ち着きを見せています」
TSMCが進出した菊陽町の隣、大津町の商業地の地価は、去年まで2年連続で全国1位の上昇率を記録していましたが、今年は22位に。熊本県内で、最も上昇率が高かった菊陽町で17.4%で、全国5位でした。
■商業地(市町村別の変動率)
菊陽町 17.4%(全国5位)
大津町 13.7%
熊本市中央区 5.9%
工業地では、大津町が上昇率の全国1位を記録したものの、県全体の上昇率は8.3%と、去年を下回りました。
■工業地(市町村別の変動率)
大津町 29.7%(全国1位)
菊池市 29.3%(全国2位)
合志市 26.3%(全国3位)
調査を担当した不動産鑑定士は、トランプ大統領が輸入半導体に100%の関税を課すなどとしたアメリカの関税政策が要因のひとつとしています。
TSMCがアメリカへの資産投資を優先し、熊本第2工場の着工を延期すると報じられたことにより、土地の買い手や熊本進出予定企業が様子見に転じたと分析しています。
ただし、その後、TSMCが第2工場の計画に変更はないと発表したことから、実際に着工されれば、また需要が拡大すると分析しています。
県内の土地価格はいずれも上昇傾向にあり、特にTSMC進出決定以降は、急激な伸びを見せていましたが、それも一旦落ち着いたという状況です。
住宅地でも、TSMC周辺の市町村で土地価格が上昇していますが、すでにTSMC周辺のアパートやマンションは空きが目立つなど、供給が過剰になっているため、価格上昇は落ち着いているということです。
■住宅地(市町村別の変動率)
菊陽町 8.2%
大津町 6.8%
熊本市中央区 5.8%