今週発表された熊本県立高校入試の前後期選抜一本化見送り。新制度での入試に向け、準備を進めてきた中学生は寝耳に水だったようです。
(変わるのが延期されるのを知っていましたか?)
中学生
「いや、知らなかったです」
熊本県教育委員会は、2027年度入学者選抜から前期選抜と後期選抜を一本化したり、特色選抜などを設ける新たな入試制度を導入する予定でしたが、当面の間、現在の制度を継続すると発表しました。
熊本市の学習塾のクラスを訪ねると―
新制度の対象となるはずだった中学2年生の7人全員が一本化見送りのことを知りませんでした。
教務部ブロック長
「保護者、生徒のみなさんに、新しい入試制度に関して話してきたところだったもんですから、いろんな事情があるんでしょうけども、驚いたというところが心境ですよね。一般的には、だいたい2年前には制度を発表して、周知徹底するのが流れだと思っています」
塾校舎の一角には、一本化された受験制度を周知するためのポスターが、まだ残されていました。
熊本県による周知はできていない状況ですが、学習塾の受け止めは冷静です。
教務部ブロック長
「学力をつけて、入試問題にしっかり対応できるような準備をしていく点では、まったく変わりませんので、特に影響はないかなと思っています」
「変わらないとなれば、安心したし、今までと同じような対策の仕方ができるようになるので良かったなと思います」
中学生
「前後期に戻ったんだったら、また先輩の話を聞いて、受験に生かしていきたいと思った」
新入試制度延期の理由は、国が高校教育の変革を進めていることにあります。
【高校無償化】
今年4月からは所得制限が撤廃され、公立・私立問わず年間11万8800円が支給され、公立高校の授業料の実質無償化が実現されました。
来年度からは、私立高校を対象に45万7000円が支給され、公立・私立ともに実質無償となります。
街の声
「高校の無償化で親の負担も減ると思うので関心があります」
「今までは公立だけと思っていたところの選択肢が広がるかなとは思いました」
【デジタル併願性】
国が検討を進めている「デジタル併願性」。現在、熊本県内の公立高校入試制度は1つの高校しか受験できない単願性ですが、デジタル併願性では、複数の志望校に志望順位をつけて出願。共通試験を受験し、合格基準を超えた高校の中から、志望順位が最も高い高校を割り当てる想定です。
街の声
「選択肢が単純に広がっていいんじゃないかなと思います」
「本当に入りたかった子が、志望校に入れない可能性はあるなと思います」
こうした国の高校教育改革の動向を見極めるためとして、新制度導入まで1年半となったこのタイミングで、県教委は、前後期選抜の一本化を見送る決断をしました。
街の声
「もうちょっと早めにわかっていればね。そこに向けて切り替えるしかないんだろうけど」
「勉強している人にとっては、別に問題はないのかなと。正直、1年あれば全然対応できると思う」
「長男、長女は、前後期あったから(前期で)第一志望を受けて、落ちてもチャンスがある方が良いと思う」