アサヒグループホールディングスがサイバー攻撃を受けて、ビールの出荷などが滞っている問題で、熊本県内の卸売業者にも、大きな影響が出ています。
田中杜旺アナウンサー
「人気のアサヒの瓶ビール、現在は在庫が結婚式1回分ほどしかないということです。普段であれば、5段分、それが2列ズラッと並んでいるんですが、今は量が少なくなっています」
熊本市南区の酒卸業者「寺本酒販」。熊本県内の流通にも、大きな影響が出ていると話します。
寺本酒販
「居酒屋で一番使われているアサヒの生ビールです。19リッターですけど、これでも1日半分位の量で、普段だったら、これが上まで7段重なっている感じで」
Qいつもと比べると?
「4分の1くらい」
9月29日、アサヒグループホールディングスは、サイバー攻撃によりシステム障害が発生したと発表。国内向けの受注・出荷などが滞っています。
システムを暗号化され、復元と引き換えに身代金を要求するランサムウェア攻撃を受けたとしています。
寺本酒販
「(いままで)コンピュータ上で注文していたけど、それができなくて、今は仕入れ担当がアサヒの営業マンに電話をして注文している。そのため、遅延したり、いろんな部分で影響が出て、いつどのタイミングで入ってくるか分からない状況ですよね」
アサヒビール以外を取り扱っているから影響は出ないというわけでもありません。
寺本酒販
「その他のビールを扱っているところも、当然アサヒがなくなれば他のビールメーカーさんのものが売れるから、そちらもひっ迫してくると思います」
さらに、ビール以外では、酎ハイなどに使われるシロップも―
寺本酒販
「シロップも、実はアサヒの商品が多いので、ここにあるのが2日分くらいなので、一気になくなる可能性が高いですね」
足りないのは、炭酸飲料のウィルキンソンも。さらに…
「カルピス。もううきょうで終わるんじゃないですかね」
寺本酒販では、取り引きのある熊本県内2500の飲食店に対し、9日、影響を周知するチラシを配布する予定です。
寺本酒販
「ビールを買い込まなければ、製造がなくなったわけじゃないので、おそらく供給できる。ただ買い込まれると、どうしても製造が追いつかなくなって…」
ビールの樽や瓶はリサイクルしているため、飲食店が買い占めて在庫を増やすと、新たなビールを出荷できない悪循環に陥る可能性があるとしています。
アサヒグループホールディングスは、システムの完全な復旧時期を未定としています。
そうなると心配なのは―
寺本酒販
「ずばり忘年会です。そこでどれだけ安定供給できるかというのが、ポイントになると思います」
寺本酒販では、少なくとも年末までは影響するだろうと話しています。
なお、ロシア系ランサムウェアグループ「Qulin」が犯行声明を出しています。財務書類や開発計画も盗み出したと主張しています。
また、ビール各社にも影響が出ています。アサヒビールが届かないからと、他社への発注が相次いでいて、安定供給のため出荷調整を行っています。
キリンビールは樽と瓶の出荷を調整、市販の缶ビールには、いまのところ影響しないとしています。
サッポロも瓶や樽の出荷を調整。
サントリーも一部商品の出荷を調整しています。