ノーベル化学賞の受賞が決まったた京都大学の北川進特別教授。2年前、熊本の科学者の卵たちにメッセージを送っていました。
2年前、熊本大学の研究室で撮られた一枚の写真です。
学生たちと映っているのは、8日、ノーベル化学賞の受賞が決まった京都大学の北川進特別教授です。
KABでは、2年前、熊本大学に講演に訪れた北川特別教授を取材していました。
北川進特別教授
「孔がいっぱい開いた材料に気体、気体以外のいろんな分子が入り込むそういうイメージで考えていただきたい」
多孔性材料と呼ばれる小さな孔がたくさん開いた材料。消臭剤などで使われる活性炭のように、分子を吸着する性質があります。
北川特別教授らがつくり出すことに成功した「多孔性配位高分子」は、この孔の大きさや性質を自在に操ることで、二酸化炭素や水素など狙った気体を貯蔵・分離させることができるといいます。
地球温暖化のような環境問題など幅広い分野への応用が期待されています。
北川さんに講演を依頼したのは京都大学時代に同じ研究所に所属していた熊本大学の勝田陽介准教授です。
勝田准教授
「ノーベル賞をとれるかもしれないというのは、何年も前から言われていた中、淡々とずっとご自身の研究をされていた。研究に対して、実直に取り組むという姿勢を伝えたくて。いい刺激になるんじゃないかと思って」
2年前、北川特別教授が学生たちに伝えたのは、科学者としての心構えでした。
「自ら情報を得て学び、真摯に取り組むことで、自然と幸運なことに近づいている不断の努力なんです。知らない間に重要なところに近づいていく」
講演を聞いた学生は
「『失敗とかたくさんあったけど、挫折はしたことない』とおっしゃられていて「私が研究生活を歩む中ですごく参考になりました」
北川特別教授は、科学者の卵たちにメッセージを残していました。
「ぜひ若い人たちは、ちょっとしたことでしょげずに、しぶとく自分の夢を実現してほしい」