毎月続いた100時間以上の時間外労働。熊本県教育委員会の職員が自殺した問題で遺族が、再発防止を強く訴えました。
遺族
「どうしてこんなことになったのか、どうして助けていただけなかったのか、その思いでいっぱいです」
2023年1月に自殺した50代の男性職員。天草教育事務所に管理主事として勤めていました。
10日、当時の教育長らが遺族に謝罪し、再発防止策を徹底することや、和解金、約1億円を支払うことで合意しました。
熊本県教育委員会がまとめた内部調査書によると、男性職員の時間外労働は2022年4月の赴任後、ほぼ毎月過労死ラインとされる100時間を上回っていました。
増員など抜本的な対策がとられなかったとして、「長時間労働を事実上黙認する組織風土が広がっていたものと猛省する必要がある」と結論づけています。
合意を受け、男性職員の妻と長女は。
遺族
「なぜこうなったのか分からない。私もつかめないことがある。誰がどうしたらよかったのか。誰の責任なのか。まだ分からないところがある。これから先見極めていきたい」
男性職員が亡くなったのは長女の「成人式」の翌日の出来事でした。
遺族
「謝罪を受けたからと言って父が帰ってくるわけではない。謝罪をしたから終わりということではなくて、父の死を受け止めて労働環境をどう改善していくのかというところまで、父の死を無駄にしないでいただきたい」
遺族は深く男性のことを知った上で、再発防止に取り組んでほしいと教師時代の同僚や保護者が男性職員の人柄について記した手紙を熊本県教育委員会に手渡しました。
男性職員の自殺後、熊本県教育委員会では職員を増員したり、勤務終了から翌日の勤務開始まで原則11時間以上あけるなど、対策を講じています。