再審無罪となった「松橋事件」をめぐり、当時の捜査の違法性を争う国賠訴訟の控訴審が始まりました。
この裁判は、1985年に現在の熊本県宇城市松橋町で起きた殺人事件、いわゆる「松橋事件」をめぐる当時の捜査の違法性を問うものです。
熊本地裁は、今年3月、すでに再審無罪が確定した宮田浩喜さんに対する捜査で、当時「燃やした」と供述していたシャツの布片を検察側が保管していたにも関わらず、明らかにしなかったことを「自白の信用性に疑念が生じる証拠」「公益の代表者である検察官はその理由を明らかにすべき注意義務を負っていた」などと、国の違法性を認め、およそ2380万円の賠償を命じた一方、警察の捜査については、違法性を認めず、原告と被告の国ともに控訴していました。
福岡高裁で20日、第1回口頭弁論があり、原告側は警察の任意の取り調べが社会通念上、許容される範囲を逸脱していたなどとして、捜査の違法性を主張。
一方、被告の国は、公判で検察官がシャツの布片の存在が自白の信用性に影響を及ぼさないと考え、証拠を提出しなかったことは、違法とは認められないなどとし、地裁判決の取り消しなどを求めました。
村山雅則事務局長
「警察、検察は、こんなことやったら、後々、国賠法上、違法責任を問われますよというような、タガをはめるじゃないですけど、冤罪を生まないような自覚を、警察官、検察官に持ってもらえるような判決を勝ち取りたい」