ホーム
2026年5月8日 14:58
運転手紹介とレンタカー「依頼していない」高校とバス会社で食い違い 磐越道死傷事故

 福島県の磐越道で高校生ら21人が死傷した事故。警察は過失運転致死傷の疑いで、マイクロバスを運転していた若山哲夫容疑者(68)を逮捕しました。そして、学校側が7日に会見を開き、「運転手を紹介してくれとは伝えていない」などと、バス会社の主張を否定しています。

■高校会見 バス会社と食い違い

北越高校 和田晋弥理事長 「人生を絶たれた生徒の無念を思うと、言葉がございません。まさに慚愧(ざんき)に堪えません」

 未来ある高校生の命が突然絶たれました。

 6日、福島県の磐越自動車道で部活動で遠征中の稲垣尋斗さん(17)が死亡した事故。警察はマイクロバスを運転していた無職の若山哲夫容疑者(68)を過失運転致死傷の疑いで逮捕しました。

 この事故を巡っては、学校とバス会社との主張が真っ向から食い違っています。

北越高校 灰野正宏校長 「学校から運転手を紹介して、出してもらいたいとは伝えていない。そういった事実はない」

■「足が不自由で杖」免許返納も…

 狭い歩幅でゆっくりと歩く男。左手にはけがをしたのでしょうか、包帯が巻かれています。

 新潟県胎内市に住む無職・若山容疑者。6日、福島県の磐越自動車道でマイクロバスを運転し、高校生の稲垣さんを死亡させたなどとして、過失運転致死傷の疑いで逮捕されました。

 取り調べに対し、若山容疑者は「速度の見極めが甘かった」「(バスの速度は)90~100キロ出していた」と容疑を認めているということです。

 若山容疑者はかつて運動部の顧問をしていたといいます。

若山容疑者を知る人 「陸上部の顧問をやっているということで、指導しているのを見たことある」

若山容疑者を知る人 「今の家に引っ越してくる時も陸上部の学生だと思うが、学生さんが大勢来て、荷物を運び入れたり手伝いをしていた」

 市によると、2022年から3年間は臨時職員として市の行事などでマイクロバスの運転をしていました。月4、5回の仕事で長距離はなかったといいます。

若山容疑者を知る人 「2度ぐらい彼が運転するマイクロバスに乗ったことがあるけど、その時の印象は乗客に対して心遣いがあったしユーモアもあった。特に荒い運転をするわけでもないし」

 一方で、別の知人には免許の返納についても話していました。

「『免許返納しようかな』なんて言っていた。とにかく足は不自由なので、いつも足を引きずって歩いていた。いつも杖替わりにして、傘で歩いているような」

「ここ1年くらい特に体全体が弱くなって、足が歩くのもおぼつかないような感じで。『車に乗っていて大丈夫か』と思っていた」

 捜査関係者によると、事故現場には目立ったブレーキ痕やスリップ痕がなく、バスはスピードを落とさずにぶつかったとみられています。

 今のところ、事故前の故障は確認されていません。

■練習試合に出かけた矢先の事故

 今回の事故で亡くなった稲垣さん。県内屈指の強豪として知られる新潟市の北越高校で、ソフトテニスに打ち込んでいました。

ソフトテニス部の先輩 「友達も多く周りのみんなから愛されていました。一緒にテニスをしている時はどうやったらできるようになるのか、誰よりもよく質問しにきてくれていました」

近所の人 「とにかくいい子。ニコニコしているようないつも礼儀正しいし、ちゃんと会釈もするし、いい子ですよ」

 インターハイ予選を控え、隣の福島県まで日帰りで練習試合に出かけた矢先の事故。稲垣さんの家族が7日にコメントを出しました。

「大切な存在である息子を今回の思いがけない出来事で失い、深い悲しみの中におります。そしてこの状況をまだ受け止めきれずにおります」

■学校が会見「レンタカー依頼していない」

 部活動の遠征中に高校生が死亡するという重大な事故。北越高校は7日に臨時の保護者会を開き、バス運行の経緯などについて説明しました。

保護者 「報道だとできるだけ安くとか、レンタカーや運転手を手配してくれとか、学校側が行ったような印象があったが、それはあくまでも全否定。どちらが本当のことをいっているのか」 「あくまで顧問からは部活の人数と行き先の依頼しかしていない。あとで基本的には請求書が蒲原鉄道(バス会社)から届くので、お支払いするという想定だと」 「通常であればメールで書面に残すなり、何かしらの対応が必要だったが、していない。その辺に関しては腑(ふ)に落ちない」

 バス会社はこれまでに学校側の依頼でレンタカーを借り、運転手も紹介。業務ではなくボランティアだったと主張しています。

 保護者会の後に開かれた学校側の記者会見。冒頭の経緯説明で、灰野校長はバス会社の主張を否定しました。

「業者側の会見で、北越高校はレンタカーの手配を依頼したとか、北越高校で運転できる者がいないので、運転手の依頼もあったという発言がされているが、ソフトテニス部の顧問によれば、全体の行程や人数などを伝える形で、バスの手配を以前からお願いしており、こうした発言をしていないということを確認している」

 また、顧問から聞き取った結果、今回の遠征は業務として依頼したという認識を示しました。

「パッケージとして人数と場所と行き先を、これぐらいなのでこの形でバスの運行をお願いしたいという依頼をしている。具体的にレンタカーを手配してもらいたいとか、学校のほうから運転手を紹介して出してもらいたいということは伝えていない。そういった事実はないということも確認しております。見積書は取っていないが、部の顧問にそこの状況については確認しています」

 なぜ見積書を取らなかったのでしょうか。

「大体同じ場所、近い場所に行くといくらぐらいになるということが、過去、業者との間であったので、今回もこれぐらいだろうということを踏んで、特にお金の部分で細かい詰めはせずに書面を取り交わすということはしていないと聞いております。やはり、なかなか一般の商慣習ではありえないと言っても良い状況」 「(Q.『より安い経済的な形で』と依頼があったという話だが、事実関係は?)事実ではございません。ここについては部活の顧問に確認しているところです」

 この「安く済ませたい」という部分、バス会社の会見では…。

蒲原鉄道 茂野一弘社長 「今回は貸切バスを使わずに(経費が抑えられる)レンタカーを使って送迎したいという話を(高校側から)いただいた」

蒲原鉄道 金子賢二営業担当 「営業用の緑ナンバーを販売するのが業務で、それに対してちょっと高いよ、じゃあどうしようかという話になる」

 対立する双方の主張。今後について学校は…。

「業者の選定、それから安全管理上は引率の形態とか、そうした部分の見直しが必要になる」

(2026年5月8日放送分より)