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2025年11月28日 19:08
インフル感染者1.4倍 高齢者も注意「インフル脳症」とは?

 インフルエンザの患者数が前の週に比べ、1.4倍に増加しました。感染者が増えるなか、高齢者も注意が必要な「インフルエンザ脳症」とは一体、何なのでしょうか。

■「インフルエンザ脳症」とは?

 診察に訪れたのは、50代の男性。27日、発熱したそうです。

 検査の結果は…。

ハピコワクリニック五反田 岸本久美子院長 「インフルエンザの『A』ですね。重症化することもあるので薬を使いましょう」

 感染が急拡大するインフルエンザ。

 28日午後の厚労省の発表によると、23日までの1週間に全国で報告されたインフルエンザの患者数は1医療機関あたり「51.12人」と前の週のおよそ1.4倍になりました。

 こちらのクリニックにも、午前中に3人のインフルエンザ患者が訪れました。そのうちの1人は、70代の高齢者…。

ハピコワクリニック五反田 岸本久美子院長 「高齢者はそもそもかからないようにかなり気を付けている。どうしても家に持ち込まれる場合もあるので脳症をおこしたり合併症が起きる可能性もある。かなり気を付けていただく必要がある」

 医師が警鐘を鳴らす「脳症」。感染症の専門家も…。

感染制御学が専門 東邦大学 小林教授 「インフルエンザ脳症は非常に重篤な疾患。高齢者は非常にリスクが高いグループに入る」

 「インフルエンザ脳症」とは、インフルエンザに感染することで脳に炎症が起きる重い合併症のこと。「意識障害」や「異常行動」を引き起こす恐れがあり、後遺症が残ることや最悪の場合、死に至ることもあるといいます。

東邦大学 小林教授 「年間100人~200人、罹患(りかん)する患者がいると言われている。インフルエンザの感染者が多い時は脳症の患者も多く記録されることが」

 一方で、インフルエンザ脳症は5歳以下の幼児に発症するケースが多く、これは“脳を守る機能が未発達だから”とも言われていますが、高齢者については…。

東邦大学 小林教授 「(高齢者は)免疫力、細胞も非常に弱い状態になっている。脳症になった時にダメージが大きい、死亡率が高くなってくると」

 国立感染症研究所が2014年から19年の間にインフルエンザ脳症にかかった患者のうち、死亡した人の割合を調べたところ、20歳未満が5%ほどだったのに対し、60歳以上はおよそ13%でした。

 では、どのように防げばいいのか。専門家は「最も重要なのは、インフルエンザに感染しないこと」としたうえで…。

東邦大学 小林教授 「インフルエンザにもしかかってしまったら、早めに抗インフルエンザ薬を服用、もしくは吸入などして、脳症までいくことを防ぐひとつの大きな手立てになる」