ホーム
2025年12月10日 11:45
理容の技で世界へ 「山口理容店」4代目の挑戦

 日本の癒やしの技術は“世界一”。神奈川県葉山町で100年以上続く老舗理容店が、いま世界から注目を集めています。若き4代目の挑戦を取材しました。

■大正9年創業 「山口理容店」

山口理容店 4代目店主 山口太郎さん 「大正9年創業の100年以上続くうちの親父が3代目で、僕は今4代目で世界大会っていうので優勝したり海外にも仕事行ったり、手に職の技術っていうのはAIじゃまねできない技術ですし」

 小気味よいハサミの音が響く店内。趣のある落ち着いた空間がお客さんをリラックスタイムにいざないます。

 シャンプーの後はマッサージです。

 音だけでも癒やされる超絶技巧を披露するのは「山口理容店」の4代目・山口太郎さんです。

「血行が良くなっているんで、お父様、終わった後、パッチリされると思います」

 この日、東京から来たという親子。誕生日を迎える父親へのプレゼントにと、この理容店を訪れたんだそうです。

 神奈川県葉山町。すぐ近くの海岸からは江の島も望めるこの地で100年以上も営業を続ける「山口理容店」は、地元の常連客だけでなく、日本全国からのお客さんでいつも予約が埋まる人気店なんです。

■評判は海外にも

 その評判は海外にまで届いています。

山口太郎さん 「(Q.外国のお客さんも来る?)めちゃくちゃ来るんですよ。YouTubeチャンネルをやってまして、海外の人が見て気持ちよさそうって。今、非常にインバウンドが多いので」

■唯一の理容師で出場 マッサージの世界大会で総合優勝

 海外で話題になっている理由はそれだけではありません。

 今年、日本で行われたマッサージの世界大会に太郎さんは唯一の理容師として出場しました。

 結果はなんと総合優勝。“マッサージ世界一”に輝いたのです。

■世界中から依頼殺到

 すると、すぐに世界中から連絡が…。

山口太郎さん 「すさまじい反響ですね。パリ、台湾、香港、ブルガリアとか海外からのオファーが非常に多くて」

 世界一の技を求めて世界中から講習会の依頼が殺到しているほか、現地へ「お店を出さないか」との誘いもあるといいます。

■日本の理容について

 さまざまな国を訪れた太郎さんは、日本の理容についてこう話します。

「いろんな海外行ってきたんですけど、日本は世界一です。カットの技術、サービス、特にシャンプー、ヘッドマッサージ、顔そり、お客様の癒やしの技術に関しては、日本が一番だと思う。どんどん日本の技術が世界へ行けたら」

 YouTubeやインスタグラムなど、SNSを駆使して世界へと活躍の場を広げる太郎さん。それを支える一人が地元・葉山の同級生です。

株式会社TABO取締役 廣瀬裕哉さん 「いつも通り気持ちよかったです。あやうく寝そうになりました」

 この日、髪を切ってもらっていたのは廣瀬裕哉さん。太郎さんが世界進出を見据えて今年立ち上げた会社で取締役を務めています。

廣瀬裕哉さん 「中学校の同級生で同じバスケ部。自分が携わっているHPや集客管理など手伝えるなということで話が進んで。お互い古くからの仲なので何を考えているか大体分かりますし、こうしたいなっていうのに共感できる思いがたくさんあるので」

 そして太郎さんの仕事ぶりを見つめているのは、共に店で働く父親、3代目の昌男さんです。

「(自分のお客さんは)90%以上ほとんど口コミ。それ以外、何もない」 「(Q.息子さん見てどう思います?)うまいこと、集客しやがんなぐらい」

■時代に合わせた戦略

 3代目も認める、太郎さんの時代に合わせた戦略。葉山のお店についても、そのレトロな雰囲気を生かした展開を考えているそうです。

「お店の床屋さんのスペースとは別に、食堂だったり畳の部屋があるんですけど、そこをきれいに改装して小料理屋みたいな、ちょっとお酒を飲めておいしいものを食べられるような、床屋と飯屋が合体したようなお店にしたいなと思ってます」

 受け継いだ伝統に新たな風を吹き込み、理容の技で世界へ。「山口理容店」太郎さんの挑戦は続きます。

「どんどん発信していって、理容師の魅力、小さな町の床屋さんでも世界で活躍できるんだとかYouTubeでこれだけフォロワーがいますとか、あの人みたいになりたいなっていう存在になれれば、今から高校卒業した人が床屋さんなろうとか、そういう夢を抱く人もいるのかなと思って、そういう存在になれればいいかなと」