
今、最もワールドワイドに活躍する日本人ピアニストとして、唯一無二の音色で世界中の聴衆を魅了する藤田真央さん。そして、ジャズからクラシックまで幅広い音楽を探求し、「世界で最も忙しいピアニスト」とも称されるキリル・ゲルシュタインさん。師弟関係にある二人が、今回は「2人のピアニスト」として初のピアノ・デュオ・リサイタルツアーに臨みます。

12月18日に開催される熊本公演を前に、お二人に話を聞きました。
「初めての場所で出会えるのは、とてもエキサイティング」
――お二人は今回のツアーで、初めて熊本で公演されるそうですね。
藤田: はい、初めてですね。一度も行ったことがないので、未知の世界です。
――熊本にはどんな印象をお持ちですか?
藤田: 馬刺し、ですよね。馬刺し食べたいな、と。ラーメンもすごく美味しいと聞きます。ローカルなものには特別なものが多いと思うので、楽しみです。
藤田: どの公演も楽しみなのですが、初めての場所で、初めてのお客様とこうして出会えるというのは、とてもエキサイティングなものですね。
――ゲルシュタインさんも熊本は初めてとのことですが。
ゲルシュタイン: ええ。真央もまだ行ったことのない場所のひとつである「熊本」に一緒に行けることを、とてもワクワクしています。熊本での演奏はとても特別で楽しい一夜になると思っています。
「2人で作り出す音色や響きを感じてほしい」
――今回は藤田さんにとって初めてのデュオ・リサイタルとなります。ご自身のピアノのどういったところを伝えたいですか?
藤田: 今回はデュオなので、私たちが同じ方向性を向いて、一つの音楽、一つの解釈を作り上げる、そういう過程がとても充実していました。なので、私というよりか、2人で作り出すその音色だったり、響きだったり、そういったものを感じ取ってくださればうれしいですね。
――ゲルシュタインさんは、今回のデュオで熊本のファンに何を届けたいですか?
ゲルシュタイン: 最も重要なメッセージは、私たちが演奏する素晴らしい楽曲そのものだと思います。非常に美しく、バランスの取れたプログラムです。
――プログラムについて、もう少し詳しくお聞かせいただけますか。
ゲルシュタイン: まず1曲目のシューベルト。これは1台のピアノを4手で演奏します。手がとても近くにあるので、一つの楽器を共に奏でることで真央との非常に親密な繋がりを感じます。続いて2台のピアノで、シューマンとラヴェル、そして真央が深く関わってきたモーツァルトをブゾーニ編曲で演奏します。さらにラフマニノフの交響的舞曲。これは2台ピアノの傑作の一つです。
――まさに「至高の音の饗宴」ですね。
ゲルシュタイン: この素晴らしいプログラム、そして私たちの長い付き合いを通しての音楽的絆と友情、互いへの深い理解こそが、みなさんへのメッセージなのです。今回のツアーを通して、私たちの関係に新しいものが誕生しています。この瞬間を日本の皆様と共有できることを大変うれしく思います。
「ピアノはもう、人生そのものです」

――藤田さんにとって、ピアノはどのような存在なのでしょうか。
藤田: ええ、もう人生そのものですよね。歯を磨くとか、ご飯を食べるとか、寝るとかと同じように、当たり前にそばにある存在なので。もう私の体と一体化しているような、そんな存在です。
――最後に、熊本のファンの方へメッセージをお願いします。
藤田: 私たちのこの多彩な、バラエティ豊かな作品たち、その一つ一つの作品によって音色をがらりと変えて構築しているので、音楽自体をすごく楽しめるんじゃないかなと思います。そして、私たちのこの音楽的友情の関係性も、皆さんに届くんじゃないかなとも思っています。
――ありがとうございました。熊本での公演を心待ちにしております。
藤田真央さん
1998年東京都生まれ。2017年第27回クララ・ハスキル国際ピアノコンクール優勝。19年第16回チャイコフスキー国際コンクール2位。これまでに、ビシュコフ、シャイー、エッシェンバッハといった世界的指揮者と共演。ロイヤル・コンセルトヘボウ管、クリーヴランド管、バイエルン放送響、など名門楽団と共演を重ねている。ベルリンのハンス・アイスラー音楽大学にてキリル・ゲルシュタインさんに師事。
キリル・ゲルシュタインさん
ロシア・ヴォロネジ生まれ。14歳で渡米し、史上最年少でバークリー音楽大学の学生となる。第10回アルトゥール・ルービンシュタイン国際ピアノ・コンクール優勝。ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ボストン響、ニューヨーク・フィルなど数々の著名な交響楽団と共演。ウィーンのコンチェルトハウスなど世界の権威あるホールでリサイタルを行っている。2018年にはベルリンのハンス・アイスラー音楽大学でピアノの教授に就任。
ヤマックス presents キリル・ゲルシュタイン&藤田真央 ピアノ・デュオ・リサイタル
日時: 2025年12月18日(木) 18:15開場 / 19:00開演
会場: 熊本県立劇場 コンサートホール
料金: S席 9,000円 / A席 7,000円 (全席指定・税込)
※未就学児入場不可
プログラム
* シューベルト: 創作主題による8つの変奏曲 変イ長調 D813 (1台4手)
* シューマン: アンダンテと変奏曲 変ロ長調 Op. 46 (2台)
* ラヴェル: ラ・ヴァルス (2台)
* ブゾーニ: モーツァルト《ピアノ協奏曲第19番》の終曲による協奏的小二重奏曲 (2台)
* ラフマニノフ: 交響的舞曲 Op. 45 (2台)
※曲目や曲順は変更となる場合があります。













