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2025年12月11日 18:14
国内初の内密出産から4年…60例受け入れ 全員が親からの虐待や過干渉

 国内初の内密出産から4年となるのを前に、熊本市の慈恵病院の蓮田健院長は11日、会見を開きました。 現場では、追い詰められた女性の受け入れが続いています。

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 蓮田健院長
「4年前に内密出産を始めましたけれども、4年間で60の事例がございました」

 様々な事情で妊娠を周囲に明かせない女性が病院だけに身元を明かして出産する内密出産。 2021年の12月に慈恵病院で国内で初めて実施されました。 

 蓮田院長は11日の会見で、今年出産した1人の女性について、内密出産では初めて緊急性の高 い処置を実施したことを明かしたうえで、孤立出産を防ぐ取り組みの意義を改めて強調しました。

 蓮田健院長
「出産から30分後くらいに大出血が始まって、病院の中だからこそ子宮の中に手をいれて(胎盤を)はがして出血を止めにかかる、点滴をして母体がショック状態にならないように処置ができる。この女性が自宅で1人で出産していたら大変なことになったと思います」

家族の同意ないまま帝王切開も…

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 会見では、これまでの60例についての分析結果も示されました。 年代では20代以下が56人。九州以外の場所から来院したのが40人。一度も病院を受診していない状態で来院したのは53人でした。

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 初診から24時間以内に出産したのは11人、1時間以内に出産したのは3人でした。また10人については、家族の同意を得ないまま、帝王切開となっています。 

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 親から虐待や過干渉を受けるなど家族との関係性の悪さは全員にみられ、内密出産を希望する第一の理由として「親や家族に知られたくない」と話したのは53人でした。 

新生児相談室・蓮田真琴室長
「(妊娠という)自分の人生です ごく大切な時に、一番頼れるはずの家族に頼れないというのはすごくきついだろうなと思います。怒られるんじゃないかとか、どんな扱いを受けるのかという怖い思いの中で、本当に勇気を振り絞って来てくださっていると思います」

 内密出産を巡っては、今年3月、東京・墨田区にある賛育会病院が受け入れ開始を表明。来年度内密出産の受け入れ開始を目指す大阪・泉佐野市は、11月に慈恵病院を視察しました。

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 蓮田院長は賛育会病院が費用を原則女性の負担としていることに触れ、「内密出産は無料とすべき」と改めて指摘。また、国内では未だ実現していない法制化について、公費が投入され、子どもの出自を知る権利を公的に保障しつつ女性を匿名で受け入れられる形が望ましいと話しました。 

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