
熊本市の新庁舎整備をめぐり、概算工事費が当初の想定の倍以上に膨らんだことが物議を醸しています。
1981年に建設された熊本市の本庁舎。2016年の熊本地震発生後、市は2度にわたる調査で、現行の建築基準法が定める耐震性能を有していないと結論づけました。

大西市長
「総合的に勘案した結果、本庁舎等を建て替える方針で進めてまいりたい」
有識者会議が「建て替えるべき」と答申したことから、大西市長が建て替える方針を示したのが2023年。翌年には概算工事費を421億円と公表しましたが、今年1月、工事費の高騰や必要床面積が増えたことを理由に、464億円増額の885億円になったと説明しました。
「421億円→885億円」市民は…
2倍以上に膨れあがった建設費用。市民は、どう受け止めているのでしょうか?
「ここまで上がるのかと、考えた時には、もっと削るところがあるんじゃないのかな。かかったとしても、ほかで削ってもらえれば、自分としてはありかなと思う」
「絶対反対です。子どもたちのためとか学校とか。年寄りのためにももっと使える金あるんじゃないですかね」
「補修できるならした方がいいと思います。税金ですもんね、みんなのね」
庁舎建て替えの議論に関わった熊本市の元幹部からは疑念の声があがっています。
かつて政策局長を務めていた古庄修治さんは市民団体の集会で次のように述べました。
「はっきり言って、本末転倒の議論が始まっている」

古庄さんが政策局長を務めていた2018年当時の市の資料を見ると、国の支援制度「合併推進債」を活用した場合の実質的な負担額は、大規模改修で202億円、移転建て替えで228億円となっていて、建て替えが優勢となったと話します。

「そこまで金額変わらんじゃん、っていうのが頭にあったと。ライフサイクルコストから考えたらこっちのほうが得じゃないか、っていうのが大前提にある。建て替え議論を始めた8年前に比べて資材は高騰、賃金上昇資材と労働力不足。今、一旦立ち止まって、再検討すべきというのが個人的な思いです」
専門家の視点

工事費464億円の増額を、熊本市民1人あたりで割ると、6万3000円分の負担が増していることになります。
KAB「くまもとLive touch」コメンテーターで、崇城大学の今井亮佑教授(政治学)は、次のように指摘します。

「一番違和感を覚えるのは、市民の民意を問う機会がまったくとられてこなかったこと。有識者会議で検討が進む間、2022年11月に市長選、2023年4月に市議選が行われているが、民意を示す場を与えられたはずなのに、与えられなかった」

「市民の納得感が得られていないことに尽きる、そもそも建て替えが必要なのかどうか、建て替えありきで話が進んでいるんじゃないか、中央区役所を分離するなら、別の場所でいいんじゃないか、など、市民が素朴に思い浮かぶ疑問に対して、納得のいく説明が行われていない」
「11月の市長選があるが、例えば庁舎建て替えの住民投票を同日に実施するなど、何らかの民意を示す場が必要ではないか」
なお、熊本市は、第三者による委員会を立ち上げ、工事費用や手法について検証進めています。













