gogo 25th KAB

いのち つないで

放送文化基金賞 受賞INFORMATION

すぐれた番組や配信コンテンツなどに贈られる今年の放送文化基金賞で、KAB熊本朝日放送の「いのち つないで」がドキュメンタリー部門の奨励賞に選ばれました。

今年の放送文化基金賞は、全国から寄せられた282件の応募や推薦の中から、16の作品と15の個人やグループなどが選ばれました。ドキュメンタリー部門は81作品から5作品が選出されています。

審査では「批判もあるなかで、内密出産の目的は、何よりも母子共に危険な孤立出産を避けることにある、と語る院長の言葉は重い。女性だけに出産のリスクを負わせる社会であってはならないと強く思わされる。」と評価されました。

受賞にあたって

番組ディレクター
KAB熊本朝日放送 大野健太郎
慈恵病院には予期しない妊娠に悩み、追い詰められた女性たちからのSOSが絶えず寄せられています。約50人の女性がこれまでに内密出産をしました。しかしその一方で、幼い命が奪われてしまう事件は現在も後を絶ちません。
慈恵病院の取り組みには賛否両論ありますが、いま目の前にある命を「制度がないから」という理由で見放してよいものでしょうか。
孤立した女性たちを「無責任だ」と責め続けるだけではこの問題は解決できません。
社会全体が向き合っていかなければならないテーマであり、少しでも多くの方にそのことを考えていただければ幸いです。取材に応じてくださった方々に改めて感謝を申し上げます。

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※7月31日(月)23:59まで

番組概要Introduction

いのちをつなぐということは、どういうことでしょうか。

2021年12月、国内初の「内密出産」で1人の赤ちゃんが生まれました。
内密出産は、様々な事情で妊娠を周囲に明かせない女性が、病院以外には身元を明かさず出産できる仕組みで、孤立出産を防ごうと、熊本市の慈恵病院が国内で唯一導入しています。

絶え間なく病院に寄せられる、孤立した女性からのSOS。背景には一体何があるのか。
実際に内密出産をした1人の女性が語ったのは、幼いころから親から身体的虐待を受けていたことと、その親に妊娠の事実を知られる激しい恐怖でした。地元の妊娠相談窓口からは親に妊娠を打ち明けることを促されるのみで、具体的な解決策を示してもらうことができませんでした。中絶も選択できず、一時はお腹の赤ちゃんを殺して遺棄することばかり考えていたといいます。

内密出産を巡っては、母親を公的支援につなげられないなどの批判や、子どもの出自を知る権利をいかにして保障するかなどの課題もあります。しかし、事例は積み上がり続けていて、予期しない妊娠の末に乳児の命が奪われる事件も後を絶ちません。
慈恵病院の蓮田健院長は「赤ちゃんには罪も責任もない」と力を込めますが、国内では未だ法整備への道筋は見えません。
国が「異次元」と銘打ち、こども・子育て支援を推し進める中、社会があるべき姿とは。
内密出産当事者の証言を通じて考えます。

[出演者] 慈恵病院 蓮田健院長 ほか
[ナレーション] サヘル・ローズ

放送日時On Air

2024年5月25日(土) 午後1時30分 放送
※放送は終了しました