警察官のライフル銃を使ったクマ駆除が可能となるなか、クマ対策にドローンを投入。その効果は。
■ハンター語る クマ撃つ難しさ
13日午前9時40分ごろのガソリンスタンドにクマです。クマはガソリンスタンドの前を横切り、走り去っていきます。
映像が撮影されたのは東北道下りの岩手山サービスエリアです。
ガソリンスタンドの店員 「普通にいて、1回出てきて戻ってって。色んなところに連絡している間にまた出てきてぐるーっと回っていって。本当に出るんだなって」
ガソリンスタンドの店員は、すぐに警察などに連絡したといいます。
クマが出没した影響で、サービスエリアは安全が確保されるまで一時封鎖されました。
秋田市の中心部、近くに大型ショッピングモールがある街中でも多くの目撃情報が…。
12日午前7時半すぎ、ハローワーク秋田の防犯カメラが捉えた映像には白いフェンスの隣を歩くクマ。駐車場に出ると、道路の方へと近付いていきます。トラックに驚いたのか、きびすを返し、消えていきます。向かった先にあったのは建物の出入り口。しかし、侵入するそぶりを見せずに走り去っていきました。
ハローワーク秋田 庶務課 佐藤一彦課長 「常日頃、意識はしていたが、まさかここに出るということは本当に想定外で、本当に寝耳に水の状態だった。今回はたまたま開庁時間前だったので、客が危害に遭うことはなかったが…」
施設ではクマの出没を受けて自動ドアを手動に切り替えるなど、対策を取りましたが…。
ハローワーク秋田 庶務課 佐藤一彦課長 「有効な抜本的な対策は正直なところないので、我々もどうしたらいいのかというのが正直なところ」
市民の不安を払拭するために13日から可能となる警察のライフル銃によるクマの駆除。秋田県警本部ではクマ駆除対応プロジェクトチームの出動式が行われました。
警察官によるライフル銃を使ったクマの駆除は、緊急猟銃の市町村判断が間に合わない場合や現場のハンターが足りない場合などが想定されています。
警察のライフル銃によるクマの駆除を現場ハンターはどう感じているのでしょうか。
花巻市猟友会 菅実さん(74) 「正直、体制的には悪くはない。猟友会猟友会ってなんでもかんでも丸投げにされるより、こういう機関が出ればいいが、ただ実践向きではないと思う。的撃ちと実際にクマを駆除するのは違う。現場慣れしている人、狩猟経験のある人がそういうのに就いてほしい」
■新対策はドローン 効果は?
目指すはクマへの対応の加速。そのために最新技術の導入も進められています。
箱わなを勢いよく倒すほど巨大なヒグマ。倒した後も重さ300キロの箱わなをものともせず押す驚異的な力。
雪が降るなかでも、出没が絶えない北海道では最新技術を使ったクマ捜索が導入されています。
上空からドローンで撮影した映像。草が生い茂った場所でモゾモゾと動くのが「ヒグマ」です。ドローンを不思議そうに見上げる様子も…。
ヒグマは1頭しか居ないように見えますが、実はこの時、もう1頭ヒグマが茂みに潜んでいたのです。
人間の目ではもう1頭がどこに隠れているのか分かりませんが、熱を感知する赤外線センサーで見てみると…。
画面中央で動くのが先ほど確認できていたヒグマ。その左側で赤く映っているのがもう1頭のクマです。
改めて先ほどの映像を見てみると、クマの左側の草むらにもう1頭のヒグマが潜んでいたことになります。
ドローンでクマを撮影 興北建設 原田欣典社長 「賢い、クマは。人の気配も感じたりドローンの気配も感じたのか、動かないで茂みに隠れていた」
この映像を撮影したのは「建設会社」です。
建設現場で使うドローン撮影のノウハウを生かし、警察や猟友会と連携してクマを上空から撮影。
この日は近くで目撃情報があったものの、クマの行方は分からなくなっていました。そこでドローンを使ってクマの居場所を把握。その後、箱わなを仕掛け捕獲することができたといいます。
ドローンでクマを撮影 興北建設 原田欣典社長 「ある種、時間との勝負になってくるかもしれない。(捜索が)広範囲にわたるので、時間が経つと」
活動範囲を広げたクマとの遭遇を避けるためにも早急な発見は被害減少に期待できるといいます。
ドローンでクマを撮影 興北建設 原田欣典社長 「開始して30分ほどでクマを発見できた。警察や役場の職員が危険な場所に入らなくて済むのが一番大きい」
■最新クマ対策“Bアラート”
さらに、クマとの人身被害を減らすためAI(人工知能)技術の活用も進んでいます。
富山市が設置したカメラが捉えたのは11日、暗闇のなかで茂みを歩くクマの映像。
草むらから顔を出すと、暗闇で光るクマの眼が確認できます。
これまで数々のクマの映像を捉えたのは「Bアラート」と呼ばれるAI技術を用いたカメラです。
富山市森林政策課 杉林広和副主幹 「今年度は今のところ人身被害はない状況」
最大の特徴はクマかどうかを判別する「精度」です。
クマやサル、イノシシなど6万枚の獣の写真をAIに学習させることで、最大99.9%の精密な判別が可能となりました。
富山市森林政策課 杉林広和副主幹 「(クマが)映るごとに地域住民に知らせて、周辺には近付かないようにと」
80%以上クマと判別すると、瞬時に自治体に自動で転送。その後、防災無線での周知や小学校の登下校時の保護者への送迎依頼など、迅速な注意喚起が可能となりました。
富山市森林政策課 杉林広和副主幹 「AIカメラであれば瞬時にメールで担当者にも届くので、時間的には30分以上の短縮になる」









