
10年前の熊本地震からの復旧工事が進められる中、今回、再び地震に見舞われた熊本城。復旧工事を終えていたところは、大きな被害を免れました。
地震が発生した7月28日午後4時27分。開園時間中でしたが、幸い、城内にいる人たちにけがはありませんでした。
仕事を終え、石垣の間を歩いていたときに地震に襲われたという職人の友田敬悟さん。土煙が上がり、数寄屋丸の石垣が落ちたのを確認しました。
「地震の後、天守閣を見ましたもんね、やっぱり。大丈夫かな?って。時間が経って、確認しに行ったら、どうもないということで、ほっとしたところがありますね」
解体し保管されていた一部の瓦が割れましたが、天守閣の瓦は落ちませんでした。友田さんらが葺き直した瓦です。

天守閣の復旧では、地震に強い瓦屋根を作ろうと「乾式工法」が採用されました。屋根の下地を土から木に変更し、軽量化。強い揺れでも落ちないよう、瓦を釘と針金で木の桟に固定しています。
「今回、地震で落ちなかったと認められたということは、未来につながっていく施工がどんどん進化していくことになっていく」と言います。
先人たちの伝統工法を受け継ぎながら、現代の工法も取り入れていく。そうすることで、未来に良い建物が残っていくと考えています。

ベテラン大工の猿渡信浩さんも、胸をなでおろしたといいます。
「耐震補強をやり終えたばかりで、全く被害がなかったです。全然、下がってもいないし、倒れてもいないし。やっぱり耐震補強さすがだなと、入れておいて良かったなと思いました」

現在、田子櫓など櫓群の復旧を進める猿渡さんは、建物に施した補強が功を奏したと話します。
「被害状況が分かるまでは『またか』という気持ちがあったけど、(復旧工事を)やっているところは一切の被害がなかったということで、落ち込むというよりも『これで良いんだ』という確信が持てて、やるぞという気になっていると思います」
櫓など建造物の修復では、できる限り、元の木材を使い、地震で傷んだ部分には新しい木材を接ぎ足して使用しています。猿渡さんが復旧に携わった長塀も、再度の倒壊を免れました。
今回の地震を経験して得た確信。強い建物を作る技を、若手に受け継いでいきます。
「(復旧すべき建造物が)まだ10棟以上あります。ゆっくりじっくりちゃんと仕事をするという感覚で、若い人たちは学んでいってもらいたいですね」

今回、40カ所で崩落や変形が確認された石垣。 数寄屋丸では、先の地震で崩れた石垣の東側でさらに崩落。加藤神社から望む平左衛門丸の石垣や、二の丸広場から見える西出丸の石垣も広範囲で崩落しました。
「工事する前のところがけっこう崩れていたので、やっぱりまた崩れたのか、と思いましたね」
そう語るのは、若手石工の田中伸幸さん。田中さんが積み直した石垣に大きな被害は見られませんでした。

石門北側の石垣では、地割れが確認されましたが、崩落の危険はないとされています。
1つ1つ解体したうえで元の場所に積み直す復旧工事。場所によっては、崩落を防ぐ最新技術を使いつつも、強い石垣には、伝統的な工法で積む石工の腕が重要だといいます。

「経験がまだ3、4年くらいしかないので、まだ未熟なところがたくさんあるので、先輩方の技術を盗んで一人前に早くなれるように頑張りたいです。大きな地震が来た時に耐えられる石垣を積んでいきたいと思います」













