
7月28日のマグニチュード7.1の熊本地震から1カ月。震源とされる日奈久断層帯の“割れ残り”が指摘されていますが、ほかにも巨大災害を引き起こす可能性がある“割れ残り”は存在します。

くっきりと現れた地層のずれ。「日奈久断層帯」が大きく動いた証です。熊本県を北東から南西にかけて走る長さ約80キロの断層帯。これまでも、巨大地震の可能性が指摘されてきました。

ただ、今回の地震で、ひずみがすべて解消されたわけではありません。
政府の地震調査委員会は、断層帯の30キロから40キロがずれたと推定。割れ残っている部分があり、今回の地震より大きな地震が起きる可能性があると指摘しています。
被災地に、さらなる災害リスクを突きつける“割れ残り”。熊本県内でみると、別の場所にも存在すると指摘されています。
「布田川断層帯の宇土半島北岸区間が分布していまして、そちらに対する影響も、ちょっと心配だなと考えています」
そう語るのは、全国の活断層を調べている産業技術総合研究所の宮下由香里さんです。
産総研の2022年の調査によって、宇土半島の北側を通る断層の詳細な場所が分かりました。2016年の熊本地震を引き起こした布田川断層帯の一部ですが、当時、この海域は動きませんでした。いわば10年前の割れ残りにあたり、いつ地震を引き起こしてもおかしくないといいます。

さらに、この“割れ残り”が島原半島に近いことでのリスクも指摘しています。
「『島原大変肥後迷惑』と同じですが、海底の活断層がずれて、津波が起こりやすいのに加えて、雲仙は火山地形ですので、大きな揺れに見舞われた場合、崩れるということも十分考えられる。また違ったタイプの津波が発生しかねないと思います」

「島原大変肥後迷惑」。約230年前の江戸時代、雲仙普賢岳が大噴火し、地震が発生。普賢岳と連なる眉山が崩壊し、土砂が有明海に流れ込んだことで大津波が起き、対岸の熊本で5000人にのぼる死者が出たといいます。

かつて崩落し大津波を起こした眉山。今年7月の地震の際にも、山肌の崩落が確認されました。海を挟んで、両岸に災害リスクがまたがっています。
長崎県の島原半島の対岸、熊本県天草地方。海岸沿いには、「島原大変肥後迷惑」を風化させまいとして建てられた石碑が点在しています。

海から1キロほど離れた地区には、大津波で流されてきたという石も。この石の地点から海までは「家を建てるな」という言い伝えもあるそうです。
7月の地震で震度5弱を観測した苓北町。スーパー「フレンドショップたかはし」の高橋さんは発災当時、店内にいました。
「あ、地震だと思って、どうしようかなと思っていたんですけど、だんだん揺れが大きくなって、心配していたんですけど、これがこぼれるぐらいで済んだからですね」
天草地方は、近年、巨大地震に見舞われたことがないため、住民の地震への警戒感は、それほど強くはないといいます。
「天草で基本的に地震って経験ないんですよね。多少の揺れはあるんですけど、3とかそれ以上の地震って、ほとんど経験ないんで」
一方で、割れ残りのリスクについては―
(Qこの近くにも割れ残りがあるのはご存じですか)
「そうだったんですか。知らなかったですね、考えを改めないといけないと思いますし、知らない人もいるだろうから、ちょっと共有して」
布田川断層帯の宇土半島北岸区間について、政府の地震調査委員会は、マグニチュード7.2クラスの地震の可能性を指摘していますが、発生確率や直近の活動時期などは不明としています。熊本県の地域防災計画でも、具体的な被害想定などは盛り込まれていません。
周辺に2000を超える活断層があると言われている地震大国日本。潜在的なリスクへの備えが求められています。













