老老介護の末、102歳の母親を殺害した罪に問われた娘に言い渡されたのは、懲役3年、執行猶予5年の判決でした。
■71歳娘に執行猶予付き判決
裁判長 「被告人を懲役3年の刑に処する」
懲役3年、執行猶予5年、そして保護観察の付いた判決でした。
その瞬間、小峰陽子被告(71)は「はい、分かりました」とじっと前を見て淡々と答えました。
102歳の母親を殺害した罪に問われている娘の小峰被告。
弁護人 「トイレは一日何回くらい?」 被告 「10分おきくらいです」
夜中に10分に1度のトイレ。小峰被告は認知症を患っていた母親を1人で介護していました。
被告 「世の中に自分一人しかいなくて、助けてもらう人が思いつかなかった。自分一人でこれをどうにかしないと、と思い詰めて殺すしかないと思ってしまった」
検察側は「母親による暴言や暴力はなく、介護疲れによる事案とは一線を画する」として懲役8年を求刑。
弁護側は「長期の介護で疲弊したことによる衝動的な犯行」として懲役3年、執行猶予5年が相当としていました。
17日の判決で裁判長は「被告人は相当の時間、ひもで被害者の首を絞めつけ、さらに包丁で突き刺していることから強固な殺意が認められ、犯行は悪質である」とした一方、「被告人は12年間にわたり高齢である被害者を介護してきたものであり、負担は決して軽いものではなかったとみるべきである。10分に1度の頻度でトイレ介助を求められるなど急激に介護の負担が高まり、被告人の対応能力を超えたことで起きた事件だ」、12年にわたる介護疲れによる事案としました。
これまでの裁判で小峰被告は「後悔というのはないんです、あの時はああするしかなかったので後悔はありません」と話していました。
元夫との間に2人の子どもがいる小峰被告。被告の息子は裁判の中で、社会復帰後の生活について、「アパートを借りて、2人で暮らそうという話をしました。楽しみとは言っていないが、生活を想像していると話していた」と話しています。
老老介護の末の殺人で懲役3年、執行猶予5年、保護観察の付いた判決に、大澤弁護士は…。
大澤孝征弁護士 「大変で大変でこれ以上(介護)できないから自分のために殺害に及んだとなると、厳しい目を向けざるを得ない。どちらに殺害の主力を置かれているか。(執行猶予)5年間でちょっと甘いかなと思ったんで保護観察を付けた。それだけ裁判所は判断に苦慮した事件だと思う。苦労して10年にわたって介護してきたことを評価すべきではないかと、この評価になったのかな」









