安倍元総理銃撃事件の公判が進むなか、山上被告が犯行に至った経緯が徐々に明らかになってきています。
山上徹也被告 「絶望と危機感かと思います」
2022年7月、安倍元総理を手製の銃で撃って殺害したとされる山上徹也被告。安倍元総理が旧統一教会側に送った動画を見た心境を問われ、そう答えました。
今月25日に行われた2回目の被告人質問。明らかになったのは銃撃に至った経緯と動機。
その証言のなかで浮き彫りになったのは、長きにわたってためた「怒り」でした。
これまでの公判では山上被告の母親や妹が出廷。事件の背景として母親の旧統一教会への入信と多額の献金、母親による妹へのたび重なる金の無心など、家庭内の混乱が語られました。
そして今回、山上被告の口から語られたのが兄のこと。脳腫瘍(しゅよう)を患い視覚障害があった兄は母の献金に強く反対。暴力を振るうこともあったといいますが、2015年に自殺しています。
山上徹也被告 「遺体を見た時に非常にショックで、悩んでたんだなと。助けてやれなかったなと」
山上被告は血まみれのシャツを着た兄を見て、罪悪感を深めたといいます。
その後、旧統一教会が兄の通夜を強引に教団の形式で行い、それが怒りにつながったというのです。
山上徹也被告 「兄が生前苦しんでいたのは、いったん神に捧げたお金を返金させるようなことをしたからだという理解になっていて、(母親に)『お前が死んだらいいのに』と今までになかったくらい怒鳴った」
怒りは旧統一教会に対する攻撃に向かいます。
2018年、19年に来日した旧統一教会の幹部をナイフや火炎瓶で襲撃しようとしますが、厳しい警備などで断念。
その後、銃を作り始めたそうです。
山上徹也被告 「距離を取らないと到底実行できないので、一番いいのが銃だと思いました」
その矛先がなぜ安倍元総理へ向けられたのか…。
大きな影響となったのは事件前年、旧統一教会の関連イベントに安倍元総理がビデオメッセージを寄せているのをインターネットで見たことでした。
山上徹也被告 「非常に長い期間務めた首相ですから、(旧統一教会が)どんどん社会的に認められてしまう。絶望と危機感かと思います」
検察側は山上被告の生い立ちは刑罰を大きく軽くするものではないとしています。
また、殺人罪だけではなく、自作した銃を撃ったことについて銃刀法の発射罪にもあたると主張しています。









