
熊本県芦北町。穏やかな海を眺めながら、寄り添って歩く二人の姿があります。「ウルトラセブン」に登場したウルトラ警備隊の友里アンヌ隊員役で知られる俳優のひし美ゆり子さんと、「仮面ライダーアマゾン」で山本大介を演じた元俳優の岡崎徹さん。50年以上の縁がある二人が今年5月、電撃結婚を発表し、芦北町へ移住するという新たな人生の選択をしました。
電撃結婚と移住のきっかけ
「全然想像できないね、今もなんで、こうやって二人で手をつないで歩いてるんだろうと」
これまで、ひし美さんは東京、岡崎さんは福岡で暮らしていました。最後に会ったのは7年前だったといいます。二人の再会のきっかけは意外なものでした。
ひし美さんが岡崎さんとのカラオケ動画を「SNSに勝手にあげたことの謝罪の電話」だったといいます。
「そんな怒るわけないよ。関係ないよ、っていうことから、どうしてんの?」という話になったと岡崎さん。「第4の人生を芦北で」と打ち明けると、移住を考えていたひし美さんが「どこ行っていいかわかんなくて。そこへ入れてもらおうと思った」といいます。

ひし美さんからの猛プッシュで、わずか3日間の電話のやり取りで岡崎さんは大きな決断をしました。まさに“交際0日婚”です。
「嫁いできてくれる。この人をとにかく俺は一生守らなくちゃいけないな」と岡崎さん。
芦北町での新生活と夢のカフェオープン
二人をつなぐことになった岡崎さんの移住計画。その鍵は、友人で芦北町に住む漫画家・村枝賢一さんの存在でした。

「私がカフェは引退後にやりたかったんですけど、いっそのこと、もう始めませんかと。岡崎さんのタイミングで、こっちに来られませんかと話をしました」と村枝さん。
2020年の熊本豪雨の後、店舗が少なくなった芦北町を盛り上げたいという思いから、村枝さんとともにカフェをオープンすることを決めました。8月から始まった芦北町での移住生活。ネット上で話題となり、特撮ファンが全国から駆けつけるほどの注目を集めています。

移住から3カ月が経った11月1日、いよいよカフェがオープンしました。店の名前は、北欧神話の神と岡崎さんの名前をかけて「ギャラリーカフェ・THOR(トール)」としました。
お店の看板メニューは村枝さんお手製のスパイスカレー。岡崎さんはデザートメニューの仕込みなどを担当します。
さっそく熊本市から訪れた特撮ファンの親子に「第1号のお客様ってことで。ありがとうございます。ご注文をいただきに参りました」と岡崎さん。村枝さんが無事に炊き上がったご飯にルーをかけ、できあがったスパイスカレーを岡崎さんがお客さんに届けます。
「(仮面ライダーシリーズに登場する)スナックアミーゴに出ていたようなカレー!おいしい」とお客さんの評判も上々です。
自然の中で広がる地域との交流
ファンとの交流も大切な時間。岡崎さんは意外な告白をします。

「仮面ライダーも見たことなかったですもんね。本当につい最近ですけど。イベントをやるようになって自分のDVD一応見とかなくちゃいかない。放映中は全然見ていない」
オープン初日の様子を見守ったひし美さん。二人が目指す幸せの形は、自然の中で広がる地域との交流です。

「芦北はもう大好き、大好き、大好き。お友達がたくさんできて、ワイワイガヤガヤ毎晩どんちゃん騒ぎしたい」とひし美さん。
「やっぱり一番僕が考えるのは地域密着型っていうのかな。この近隣のお客様が、本当に楽しく時間を過ごしに来て欲しいなって考えますね」と岡崎さん。
ウルトラ移住生活ここにあり。特撮夫婦が芦北町を盛り上げます。













