
陸上自衛隊は9日未明、長射程ミサイルの発射機を載せた車両を熊本市の健軍駐屯地に搬入しました。敵基地攻撃能力のある長射程ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型」と言われるもので、これらの車両は7日夜、静岡県の富士駐屯地を出発していました。
今後、準備を進め、3月内に配備を完了する計画で、国内で初めての配備となります。
配備めぐる地元への説明は

車両が搬入された健軍駐屯地の正門には、配備に反対する市民らおよそ100人が集結しました。
住民
「今回の搬入で、私たちはまったくそんなこと説明されていないんですよ。説明されていないし、住民説明会もまったくない。もう本当に愕然としたというか、本当に私たちは無視されているんだなと思いましたね」
政府はこれまで、配備に関する住民説明会の開催を拒んできました。
一方で、九州防衛局は去年11月、KABの取材に対し、「事前に伝える」と説明していました。

伊藤防衛局長
「一般の方が知らないうちに決まってと、そういうことを懸念されているんでしょうが、それはさすがにないと思いますね。然るべきタイミングで、然るべきルートで、然るべき方法で事前にお伝えをする、そういうつもりで考えています」
しかし、6日の閣議後会見で小泉進次郎防衛大臣は「装備品の搬出や搬入については、部隊運用の保全や輸送の安全を確保する観点からお答えを差し控えます」と、発射機などの「搬入」と、実際に運用を始める「配備」という言葉を使い分けて説明。
今回の搬入にあたり、住民はもちろん、熊本県や熊本市への説明はありませんでした。

木村熊本県知事
「県に何の知らせもなく、今回も報道を通じて知ることになったのは大変残念」
搬入を事前に説明しなかった対応に、問題はなかったのか。
ミサイル部隊が設置されるなど、国による防衛拠点化が進められる沖縄県の玉城デニー知事もコメントを発表しました。

玉城デニー沖縄県知事
「報道の範囲ですけども、熊本市にも事前に連絡がないということですよね。それは、まかりならないと思いますね。国が決めたからだとか、計画的に事前に予定していたからということで、説明責任を果たしているとは到底思えませんから」
説明が尽くされないままに進むミサイル配備。市民の受け止めは様々です。
「そんなのだめよね(戦争が)身近に来ているのかなと思ってしまう」
「なぜ熊本で、なぜ今のタイミングなのかというのは、理由があったとしても、置かれる前に説明は必要だと思います」
「何かあった時に守ってもらえないですし、必要かなと思ったり。ミサイルを置くことは重要だと思います」
熊本市の大西一史市長は、改めて住民への配慮を国に求めました。

大西熊本市長
「人々が住んでいる、しかも、健軍駐屯地は非常に住宅地の真ん中にあって、隣には病院もあって、いろんなものがある中で、これまで長く自衛隊の皆さん方との信頼関係の中で共生をしてきたわけですから、住民に対する配慮、説明をもう少し真摯に向き合っていただかないと困る」
防衛省は9日、長射程ミサイルを3月31日に配備すると発表。17日に知事や市長、議会、地元自治会などを対象に12式地対艦誘導弾能力向上型の装備品展示を行い、説明をするとしています。
射程は1000㎞ 配備されるのは
「12式地対艦誘導弾能力向上型」について、健軍駐屯地には同じミサイルの従来型はすでに2016年度から配備されていて、射程はおよそ200キロ。今回配備される能力向上型は、約5倍の1000キロとされています。

中国本土も射程圏内となる、より強固な反撃能力を有し、抑止力を高めることが狙いです。「台湾有事」を念頭に計画が進められてきました。
反対派の住民らは、健軍駐屯地が標的になるのではないかと懸念しています。健軍駐屯地の周囲には、病院や学校などが点在し、住宅地も近くにあります。そこに予告なく発射装置が搬入されたことで不安が高まっている状況です。
元陸上自衛隊中部方面総監の山下裕貴さんは「ミサイルは移動式のため、有事の際は駐屯地にいないので、標的になることはない」としていますが、住民の不安は払しょくされていません。













