
熊本県の八代海でイルカの目撃例が増えています。
「去年の夏から多くて、だんだん増えてきた。何百頭かいる感じで」
そう語るのは、天草の対岸、芦北町漁協芦北支所長の上塚末博さんです。
去年夏ごろ、八代沖で確認され始めたイルカ。去年10月、撮影された動画では、100頭ほどが確認できたといいます。さらに、今年春にかけて目撃エリアは南下、水俣方面でも確認されているそうです。

イルカウォッチングの名所、天草の通詞島沖の早崎瀬戸には、約200頭が生息しているといわれていますが、八代海は天草諸島の東側。イルカの大量出現は「過去に例がない」と上塚さんは話します。
タチウオの漁獲量ゼロ…
イルカの目撃が増えた八代海では、もう一つの異変が起きていました。
「魚が取れなくなった。もう全然、タチウオとかゼロなんですよ、今年に入って……。漁業者の生活がかかっているので、ちょっと大変かなと」と上塚さん。

「田浦銀太刀」のブランド名でも知られる芦北町名産のタチウオ。去年1月から3月には1400尾ほどがとれましたが、今年はゼロ。漁師にとっては、死活問題です。
「もう続けられないっておっしゃっているので、実際、数名、辞められた方、職を変えられた方がいらっしゃいます」

イルカと不漁…因果関係は
熊本の海で何がおきているのでしょうか――
イルカやクジラ研究の第一人者、長崎大学の天野雅男教授は、ハンドウイルカ、ミナミハンドウイルカ、ハセイルカの可能性が高いと指摘します。
「2種類のイルカが、場合によっては3種類かもしれないですけど(ほぼ同時に)出現している可能性があると思います」
過去、2000年ごろにも、島原半島との間の早瀬瀬戸に生息しているイルカが鹿児島県側の長島海峡に移動したケースがあったそうです。

1年ほどたって、大部分は元の海域に戻ったそうですが、なぜイルカが移動したのか、ルートも含め、分かっていないことが多いといいます。
タチウオの漁獲量減少との因果関係については「そういうこともあると思います。魚介類は、基本的に口に入るサイズのものであれば、何でも食べる。実は、早崎瀬戸にいるミナミハンドウイルカも、いろいろ漁業被害の報告があります」と話します。
芦北漁協には、漁師から対策を急いでほしいと要望が出されていて、行政にも相談しているそうです。
「イルカの嫌いな超音波を飛ばしたりとか。鉄を叩いて、それでも逃げるらしいので、そういうことができないかと」
突然の海の異変に、漁師は頭を悩ませています。













