
“立ち直り”に重点を置く拘禁刑が導入され、6月1日で1年。刑務所のあり方も大きく転換しています。
殺人や強盗などの罪で長期刑を科された受刑者約250人を収容する熊本刑務所。最高齢が92歳、65歳以上の割合が34%と高齢の受刑者を多く抱えています。

懲役と禁錮に代わり、1年前に導入された拘禁刑。“懲らしめ”から、“再犯の防止”に軸足が移りました。
高齢受刑者へ対応「DS」プログラム
24の矯正処遇プログラムの一つが、高齢福祉を指す「DS」です。DS工場では、企業などから受注した刑務作業も実施されますが、認知・身体機能の維持が目的の塗り絵など改善指導も行われます。

熊本刑務所では、2つのDS工場が稼働。先週訪ねると、色鉛筆を手に取り、塗り絵をする受刑者、パズルや折り紙に取り組む受刑者の姿がありました。
熊本刑務所の受刑者の多くは、拘禁刑導入前に収容された懲役刑の受刑者ですが、拘禁刑導入の理念のもと、対応を切り替えたといいます。さらに、今後、DS工場を増やす予定です。
石井弘幸所長
「刑務作業は、あくまでも刑罰の目的でしたが、拘禁刑が始まってからは、改善指導や円滑な社会復帰のためのいわゆる手段だと。職員が、その動機づけに関わっている」
1年前の刑法改正で、義務だった刑務作業は選択肢の一つとなりました。
年齢や国籍、刑期の長さ、薬物依存の有無など個々の特性にあわせ、改善指導と組み合わせる処遇に変わり、刑務作業は、受刑者と目標を立てて行われます。
対話による更生へ
全国的に問題となった人権意識の改善など組織の風土改革も、この機会に推し進められています。刑務官は受刑者を「さん付け」で呼び、対話による更生が重視されています。
こうしたなか、現場では、戸惑いもあったといいます。
担当刑務官
「認知機能が低下したりすると、突然、徘徊しだしたり、普通の指導で突然怒りだしたりとか、そういうことへの対応が難しかったです」
刑務官は、高齢者施設の研修を受けるなどして、対応しています。一方で、対話によって、受刑者の立ち直りを支える形に変わり、この1年で感じる変化もあるといいます。
担当刑務官
「(受刑者にとって刑務官が)前よりも身近な職員、良く相談を聞く職員になったと思います」
刷新された処遇の効果が実証されるのは、まだ先のことで、熊本刑務所では、取り組みを進め、検証していくとしています。

石井弘幸所長
「一人ひとりに応じた必要な処遇をやっていくというのが、最終的には再犯防止という形につながっていくのかなと思っています」
熊本刑務所では、受刑者が対話の中から犯した罪についての気づきを得ることや受刑者支援にあたる刑務官をケアする「支援者の支援」にも、力を入れているということです。













