
熊本地震で大きな被害を受けた歴史的建造物の被害状況の調査が行われています。
震度6強の揺れを観測した熊本県八代市で調査を行ったのは、日本建築学会の会員です。歴史的建造物を専門的に調査する「ヘリテージマネージャー」らと、県内各地の被災状況を調べています。

北海道大学の池上重康助教とともに、蔵や茶室などが倒壊した国指定の名勝「松浜軒」などをまわって被災状況を記録しました。調査結果を修復などに役立てるためです。
被害を受けたのは、国や県に指定されている文化財だけではありません。歴史的な古い建物ではありながらも、公的な補助を受けることができない地域の寺などにも、多くの被害が確認されていますが、全容は把握されていません。

(北海道大・池上助教)
「文化財になっていない建物は、現代日本では災害にあった時にすぐになくなってしまうが、今後、日本の文化を継承していく価値を持っている。地域のコミュニティーを未来につないでいく」
池上助教らは、2年前の能登半島地震の際にも、歴史的建造物の被災状況を包括的に調査・記録した経験があり、今回の熊本地震でも、熊本県全域で2187件の調査を予定しています。
八代市中心部の観行寺。文化財に指定されていませんが、倒壊した山門の部材を確認していると…
(北海道大・池上助教)
「すごい、すごい。これでわかったんですね。1864年、クーデターを起こした長州藩を征圧するため5000人の兵隊を乗せた船が停泊している」

薩摩藩から長州征伐に向かう兵たちの様子を墨で記した記録が出てきました。調査した人たちによると「幕末の動乱期の地方の記録が記された貴重な一次史料」とのこと。歴史的発見を聞きつけた研究者も観行寺に駆けつけました。
(日本建築学会・原田聰明さん)
「(文化財に)指定するに足りるほどの十分な歴史的な建造物の価値があったと思います」
先人たちが紡いできた歴史や文化、地域の心の拠り所を後世につないでいこうと、被害状況の調査が県内全域で続けられます。













