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2025年11月12日 19:25
「被疑者ノート」警察が就寝前に回収…問題点は?

 容疑者が警察からの取り調べ内容などを書き留める「被疑者ノート」を警察官に持ち出されたという訴えを受け、裁判所が勾留場所の変更を認める決定を出したことがわかりました。

 関係者によると、今年10月、薬物事件に関わった疑いで、30代の容疑者が逮捕され、熊本北合志署に勾留されました。この際、弁護士から取り調べの状況などを書きとめる「被疑者ノート」を渡されましたが、弁護士に接見した際、「就寝前に警察官にノートを持ち出された」と訴えたということです。

 ノートには何も書かれていなかったということですが、容疑者が弁護士とやりとりする権利を認めた「接見交通権」や「黙秘権」などを侵害する可能性があるとして、担当弁護士が裁判所に対し勾留場所の変更を申し立てていました。

 これに対し熊本簡易裁判所は、11月6日付で、熊本市内の拘置所に勾留先を変更する決定を出したということです。

 熊本県警本部は個別の事案については、コメントを差し控えるとしたうえで「規律秩序の維持や自傷行為防止のため、就寝時間帯に被疑者ノートなど私物を個人保管庫に収納することは法令に基づき適正に行っていて、取り扱いには問題がないと考えており、運用を変えるつもりはない。被疑者ノートに書き込みがあっても、一律で収納していて、熊本県内のすべての警察署で同じ運用をしている」とコメントしています。

 この容疑者の弁護を担当する古閑哲哉弁護士は、県警のコメントに対し「容疑者の権利を侵害しているのに、運用を変えるつもりがないことに衝撃を受けた。改めて対応を検討してもらいたい」と話しています。

「被疑者ノート」持ち出しめぐる事例

 札幌地裁の判決2021年7月、取り調べに黙秘していた女性が弁護士との接見内容を記した被疑者ノートを、警察官が留置場の外に持ち出して修繕し、15~20分後に返しました。

 札幌地裁は、黙秘権や接見交通権の侵害に当たると判断し、去年12月、北海道警が道に25万円の損害賠償を命じる判決をくだしています。

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