
7月28日のマグニチュード7.1の地震を起こした日奈久断層帯。政府の地震調査委員会によると、約80キロのうち、30キロから40キロにわたって、ずれたとされています。
断層がずれた現場では、大きな被害が出ています。

「下からの突き上げ、長い、大きいのが3回ばかり。そこから横揺れ。立ってられる状態じゃなかった。気づいたときには、こう、斜めだ」

そう語るのは、八代市妙見町に住む山田さん。今回の地震で敷地には大きな地割れが生じ、柱と床がずれて傾いた自宅は全壊と判定されました。
調査のため山田さん宅を訪れた長岡高専の尾上篤生名誉教授は、断層の位置の特定は、難しいと話します。
「鉛筆のように細い線は描けない。この辺だと、絵具やマジックで塗るような幅ではわかるんだけど。起こったときに初めてわかるので、今回の勉強をすることによって、これから先、200年、300年、400年先まで語り継いで」

我が家の下を断層が走っている――山田さんは、この場所を離れるしかないと考えています。
「もうここに家を建てない方がいいって言うから、どこかで貸家暮らしするよ。しょうがないな。試練を与えられた。歳をとってから試練はいらないと思うけど…」

断層が現れたのは、山田さんの自宅だけではありません。地域を見守ってきた妙見宮(八代神社)の境内をはじめ、一帯で確認されています。近くの防犯カメラには、田んぼに断層が出現する瞬間が捉えられていました。水平方向に105センチ、上下に90センチのずれが確認されています。

「妙見はよか町です。住みよい町です」
こう話す89歳の畑中さん。自宅の下を断層が走っていることがわかりました。自宅は隣の倉庫にもたれかかる形で、かろうじて倒壊を免れましたが、住むことはできません。
「妙見から離れないとしょうがないね。子どもの頃から妙見にいたから、離れたくないけど、どうしようもないね、天災ばかりは…」
新しい住まいが被害を受けた人もいます。5年前に新築した長谷川さんの自宅は、一見すると大きな被害はないように見えますが…
「新しいから大丈夫なんだと思っていたんですけど、歩くと気持ち悪くなってきて…」
地震で家にゆがみが出て、一方が低くなっていました。
「もしかすると、ローンの返済だけ残って、自宅がないということも考えられるかなと。最悪は、そういう状況になることもあるのかなって」
地震の揺れだけでなく、断層がもたらす“直上被害”について、東北大学災害科学国際研究所の遠田晋次教授は、リスクを指摘します。
「断層のずれによる直上の構造物の破壊、もし、その上に重要な構造物があると、学校とか火器を扱う建物があると、被害が大きくなる。地震の揺れには耐えても、そのずれによって壊れる」
2016年の熊本地震では、南阿蘇村にあった東海大学のキャンパスの敷地内に断層が出現。キャンパスの再建にあたり、別の場所に移転しました。
技術の進歩で、活断層の位置や活動状況などが少しずつわかるようになってきましたが、現時点で、断層上の建築を規制する法律はありません。一方で、対策に乗り出している自治体はあります。
中央構造線断層帯が走る徳島県では、2012年に「震災に強い社会づくり条例」を施行。指定されたエリアでは、学校や病院、百貨店など多数の人が利用する施設や危険物の貯蔵施設などを建築する際に調査し、断層の真上を避けるよう規制しています。
将来の地震にどう備えるか。できるだけ被害を最小限にするため、今、できることに取り組んでいく必要があります。
















