
家庭裁判所から保護処分として送致された少年に対し、矯正教育や社会復帰支援などを行う少年院。法務省所管の施設で、全国に43カ所あります。少年刑務所が刑罰を与えることを目的としている一方で、少年院は更生を目指すことが目的です。

熊本県錦町にある人吉農芸学院。窃盗や傷害、違法薬物使用などの罪を犯したおおむね15歳から20歳までの男子およそ60人が収容されています。1年間ほど、規則正しい生活を送りながら更生を目指します。
この人吉農芸学院で、今年1月、「二十歳の集い」が開かれました。
「二十歳、私は経験したことのない大人の世界へ仲間入りをしたことを意味するものでしょう 。少年院で二十歳を迎えた今、過去を振り返ると、人生は長いようで短く、生きる難しさに直面しております」
保護者や地域の人たちに見守られ、5人の院生が門出の日を迎えました。

「私の人生は、誰かの人生の幸せを支えられる人間でありたい。そう思い、これからの人生を終わりのない仕事に誇りを持ち、少しずつ歩んでいくことをここに誓います」
誓いの言葉を述べた拓海(仮名)さん。去年の夏、人吉農芸学院に収容されました。
「非行を何度も繰り返したことで、さすがに今回の件で入るかなって、頭をよぎりました。少年院に入るっていうのが決まった時は、本当に人生に終わりを迎えたような気持ちではいました」
拓海さんは、いわゆる不良グループに所属していたわけではありません。自立した生活を送っていましたが、周囲とは距離を置き、自分を隠して生活していました。ストレスのはけ口を求めて、犯罪を繰り返したといいます。

「引き返すタイミングは何度もあったと思うんですけど、やっぱりここに来て気付いたのは、自分の欲に負けて、結局は好きなことを自分の考えた思うことを、そのままやっていた。僕にとって少年院という場所は、これからの進む道を見つける場だと思っています」
人吉農芸学院に来て初めて、自分の犯した罪と向き合う日々を送っていると話す拓海さん。担当する大場琢矢法務教官は、成長を日々感じているといいます。
「規範意識というか、ルールを守ることに意識をして生活をしていて、そこは変わってきたかなと。守らせるではなく、自分から守っていこうと。生活や対話、課題をするにしても意識が深まってきたと感じる」
更生とは…再犯にならないために
矯正教育と社会復帰支援が少年院の役割。人吉農芸学院の立石健一郎次長は「彼らに再非行を選ばせない、新たな被害者を生まないことを社会に戻って実現してもらわなければならない」と強調します。
国によると、少年院を出た5人に1人が、5年以内に再び少年院や刑務所に収容されています。
彼らに再犯を選ばせないために何が必要なのか―
これまで全国の少年院で30年以上、教官として指導を行ってきた立石次長は「彼らを孤独にさせない、心の置き場を作ってあげるということを、まずは意識してあげること」と話します。
社会復帰を叶えた先で、周囲から向けられた偏見により「孤独感」に苛まれ、再び犯罪に手を染めてしまうことも少なくないといいます。
「一旦、間違いは起こしているかもしれませんけども、社会の一員として戻ってくる人たちなんだということを受け止めをしていただいた中で、彼らがもし生きにくさを持っているのであれば、それを低減させていくこと。要するに地域の人間であったり、社会の中で包接していくことが大事になってくる」
今年の夏ごろに人吉農芸学院を出る予定だという拓海さん。危険物取扱者の資格を取得するなど、社会復帰に向けた準備を進めています。

「社会にいた時は多くの迷惑をかけてきたので、自分の生活している姿や仕事している姿を見てもらって、あの非行をしてた自分の姿はどこ行ったんだって、忘れてもらえるぐらいの生活の姿を見せていけたらなって感じています」













