
熊本地震からまもなく10年。このときの経験が転機となり、全国のサウナ愛好家から“西の聖地”と呼ばれるまでになった施設があります。
風呂は「生活インフラ」を再確認

熊本市の「湯らっくす」。10年前の熊本地震では、配管の破損によりガスが使えず、機械類もダメージを受けたことで休業を余儀なくされました。
代表の西生吉孝さんは「近所の方から『水が欲しい、お風呂が欲しい、いつになったら再開するんだ』って言われて、お風呂はインフラなんだ、結構、人の役に立ってるな、と再確認させられた」と語ります。

地震から10日あまりで営業を再開し、ボランティアや地域住民のために施設を無料開放。「わざわざ熊本まで来てくださった方の役に立たないといけない」と最後までボランティアの入浴を無料で受け入れ続け、“ボランティアの聖地”とも呼ばれていました。

当時は「湯らっくす」を親から継いだばかりだった西生さん。この経験が奮起するきっかけになったと、ブログにもつづっています。
(2016年ブログより抜粋)
商売をするのに意義を見出せない時もありました。
しかし今、社会的意義を持ったこの復興という機会に直面し興奮している自分を否定できません。
「もう建物も古いし、元々閑古鳥が鳴いてる、その上この地震じゃ・・」
燃え上がる要素が多すぎる!!
サウナに特化 “西の聖地”に
熊本が復旧・復興に向かうなか、「湯らっくす」は、翌年リニューアルに動きました。
「熊本って温泉ってすごいじゃないですか。黒川もあれば、菊池、日奈久も、いろんな素晴らしい温泉がいっぱいあって、敵わない。サウナだったら、目立つことができるんじゃないか」
温泉では熊本の名だたる施設に太刀打ちできない。ならば、サウナで差別化を図れないか――目をつけたのが、先代の頃から評判が良かったというサウナです。

熊本の地下水を使った水風呂には、ボタンを取り付け、押すと大量の冷水が頭上から降り注ぐアトラクションへと進化。また、様々なイベントを楽しめる「劇場型サウナ」も導入しました。

「サウナブーム初期の頃は、うちは30代の人も来るんですよ。って、うれしくて、若い人が来るのが」
以前は50代の男性中心だった客層に変化が。コロナ禍を経てからは、10代、20代の客も訪れるようになり、全国からサウナ愛好家が集まる“西の聖地”と呼ばれるまでになりました。
次なる挑戦は“サウナビッグバン”
「熊本地震の体験は、自分にとって強烈だった。それまで“挑戦したい”という感覚は生まれたことがなかった」
そう語る西生さん。熊本地震から10年となる今年、新たな挑戦として「湯らっくす2号店」をオープンさせます。

場所は、福岡市天神。テーマに据えたのは、黒澤明監督の映画「七人の侍」だそうです。
「七人の侍は、連帯と役割がある。私としては、ボランティアの方々を受け入れる役割で、手伝ってくれるボランティアの人たちと連帯しながら、熊本のまちを復興させていったと思う。今、天神は『天神ビッグバン』で新しいオフィスビルがいっぱい建っているが、そこの人々の逃げ場所がない。その逃げ道となるような場所が作れたらいいかな」
自ら“サウナビッグバン”と呼んで、挑戦を続けています。
「地震をきっかけに挑戦している企業があると知って、熊本の若者たちが『俺たちも頑張ろう』と思ってくれたらいいなと思って。いろいろやってみようと思います」












