
熊本市では、10年前の地震に続き、今回の地震でも再び液状化の被害に見舞われた地区があります。
(記者)
「地域住民によりますと、もともと、この高さまであったところが、10年前の地震でここまで下がり、今回の地震で、さらに下がってしまったということです」
最大震度6強の地震に見舞われた熊本市南区。富合町杉島地区では、大きな倒壊被害はありませんでしたが、液状化による地盤の沈下など被害が出ています。住宅にも大きな影響を及ぼしました。
(杉島地区の住民)
「一番ひどいのが、地盤の陥没と割れですね。その影響で、家が傾いたような形になんです」
この地域に30年ほど前から暮らす男性の自宅。敷地のいたる所に地震の傷あとが残ります。家の裏側には、液状化で砂が噴き出しました。10年前と同じ場所が、同じ被害にあったといいます。

(杉島地区の住民)
「補助金も10年前ありましたけど、それを使っても足りないので、どうしても、手出しが結構な金額になりますよね」
前回は、家の修理などに1000万円を超える費用をかけました。
(杉島地区の住民)
「つらいですね、なんとも言えないですね、どうしましょうという感じですね。10年前は10歳若かったから、まだ、よーしみたいな。復旧するぞ、やり直すぞ、みたいな勢いはありましたけど、10歳年取ったから、気力が少し薄れてますからね」
同じ杉島地区にある、創業110年のサイクルショップも、液状化の被害に悩まされていました。
(サイクルショップ)
「ここずーっとアスファルトの道だったんですけど、地震の揺れと一緒に、水と泥が噴き出してくるような感じで。あそこに残骸がありますけど、泥の山ができたような感じです」
前回の被害の後、約1000万円を負担し復旧したそうですが―

(サイクルショップ)
「ここを境に家が傾いて、10年前も同じ感じです。全くおんなじ場所です。最後だからと頑張って建て直したんですけど、また同じようなことになって、もう今回はできないなと皆さん言われています」
10年前に液状化 今回は被害報告なし…
(上月花梨アナウンサー)
「10年前の地震後、液状化の対策工事を行った近見地区。市によると今回の地震では液状化の報告はないということです」

前回、広い範囲で液状化被害を受けた近見地区では、「地下水位低下工法」と呼ばれる対策工事が行われました。

約35ヘクタールの対策エリアを囲むように鉄の板・矢板を地下に埋め込み、内側の地下水をポンプで数カ月かけてくみ出す工事です。水位を下げることで、液状化しにくくなるという対策で、今年3月に完了したばかりでした。

熊本市によると、このエリアでは今回、液状化の被害は見られなかったということです。
(大西一史市長)
「噴砂等の液状化現象がまったく確認されていない、ポンプも正常に適正に地下水が低下していることが確認されましたので、新たな液状化被害がないということは、非常に効果が出たのではないかなと」
近見地区の住民は、次のように話します。
(近見地区の住民)
「対策してあったし、家も建て替えたので、大きな損害は全くなく、みんなで液状化対策してよかったよねと話した」
対策工事に至るには、地域の合意形成のために、多くの時間が必要でした。反対意見も多かったといいます。
(近見地区の住民)
「かなりありましたね。(ポンプの)維持費用の面で、液状化対策は水をくみ上げるので、心配される方、最後まで結構いらっしゃったんですけど、市が費用を負担するという話があって、最後はアンケートを取って、規定をクリアして」
一方、杉島地区では、10年前は、対策にかかる費用や工事による騒音などをめぐって、住民の合意がまとまらず、対策は実施されませんでした。
(杉島地区の住民)
「地域住民みんなの賛同が必要な話だったので、液状化対策するのになかなか意見がまとまらなかったということで、その時(10年前)は、液状化対策をここの地区は、していないんですけど、今思えば、やっとけばよかったなという感じですね」
(サイクルショップ)
「うらやましいというか、無念というか、悲しいというか。どうして前回ここまで来なかったかなぁっていう思いは、やっぱりあります」

対策の有無で分かれた被害。熊本市は被害調査を進め「今後、復旧と対策の両輪で進めたい」としています。
(サイクルショップ)
「家を元通りにしたいんだけれども、個人ではどうにもならない。皆で考えていかないといけないかなということで、行政の手助けが必要だと思っています」













